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日本語教師JTO 養成講座編3

 

第三十二話

希望表現・目的表現。

 

第三十五話

遠足。

第三十三話

て形。

 

第三十六話

まとめのテスト。

第三十四話

演習3。

     
 
 第三十二話.希望表現・目的表現。

「希望表現」といったら、「ほしい」や「〜したい」が思い浮かぶ。この2つの表現の違いはなんだろう。
「私は車が欲しいです。」
「私は車を買いたいです。」
大まかな意味としては同じになるだろう。「車を買いたい」→「車がほしい」等に言い換えられる場合があるが、「結婚がしたい」は「結婚がほしい」とは言い換えられない。つまり「ほしい」は「所有」であって、「〜たい」は「行為」となる。・・・・今までそんなこと考えもせずに使っていたこの表現。そしてこの「ほしい」の導入を早速考えなければならない。
・・・・「ほしい」でしょう・・・?はて、どんな文で導入しようか。「水がほしい」にしてみようか。とりあえず、「私は水がほしいです。」を使って導入をしてみた。これは演習ではないので、授業中にちょこっと前に立ってやってみる、というもの。
まず・・・・。のどが渇いているような動作をしてみる。「ハァハァ。」「暑いです。(←既習事項)」「水・・・水・・・・。」近くにミネラルウォーターのペットボトルを置いておき、それを指し、そこで一言。「水が欲しいです。」・・・どうかな?チラッと先生の顔を見る。う〜ん、あんまりいいお顔ではないわ・・・。何がいけないのかなぁ。自分ではわからない。
「導入という意味はわかってきたようですね。今日勉強する文型を導くものなので、そのような流れでいいと思います。でも、それで「ほしい」が学生にはわかるでしょうか?もしかしたら、ある学生は「水を飲みたい」という意味で理解してしまうかもしれませんし、ある学生は、指を指す行為を「ほしい」という言葉だと思ってしまうかもしれませんねぇ。どうでしょうか。」
・・・・・う〜ん・・・。おっしゃるとおりデス。確かに。考えてみたら、Martyのやった導入だと、何通りもの意味が当てはまってしまうわけで・・・・。なんてこった。

でも、「〜たい」の導入は比較的簡単にできた。というのも、「ほしい」がもう既習事項として入っているし、「飲みます」という言葉も入っているから、この2つを組み合わせ、導入できるのである。
その他の希望表現として「〜たがる」もある。
「私はアイスを食べたいです。」
「花子さんはアイスを食べたがっています。」
これだね。

さ、もう1つの「目的表現」。例えば、
「大学に入るために勉強します。」
「日本語が話せるように勉強します。」
の「ために」・「ように」などがそう。
さて、またまたちょっと考えてくださいな。この2つの表現、どう違う?
「ために」はちょっと硬いイメージがあるようなないような・・。こんなの説明にもなんにもなってないシィ。・・・・・今までそんなこと考えもせずに使っていた表現、Part・2。

この講座が始まってからというもの、こんなことばっかり。目からウロコがボロンボロン落ちてるぅ〜って感じッス。

 
 
 第三十三話.て形。

「て形」。これは動詞の1つで、例えば「食べて」とか「作って」とか、動詞の後に「て」が来るもの。
例えば母親に「夕飯、作って。」と言うときがあるが、これはフルセンテンスで言うと「作ってください」になる。このように考えていくと、この「て形」の用法はたくさん出てくる。「〜てください」・「〜ています・「〜てあります」・「〜ておきます」・・・・・まだまだある。さらに、この「て形」。動詞の活用がなかなか難しい。活用というと、「〜て」の形にするときの動詞の変化になる。例えば、
「作る」→「作って」。
「歌う」→「歌って」。じゃあ、「飲む」は「飲って」?・・・・・「書く」は「書って」?普段私たちはまず、間違えないよね(笑)。でも日本語を勉強する学生にとって、この動詞の変化は手ごわい相手になる。
そしてここで初めて動詞のグループ分けの勉強をすることになるのだ。
むか〜しむかし、私たちは国語の国文法の時間に習ったんだけど、覚えてる?
例えば「五段活用」。う〜ん、懐かしい。そういえば、って感じだよね。んじゃこれは?「上一段活用・下一段活用」。さらにこれは?「サ行変格活用・カ行変格活用(サ変・カ変)」。そう、私たちはこのような言葉で文法を習ってきた。さらに古文でも「上二段・下二段」・「ナ変」とか、習ったよね。
この活用を、日本語学習者も覚えなければならない。といっても、もう少し簡単にまとめた形でだけど。このとき、実は「50音表」がとても大切になる。この「50音」。あなどれない。この表を見れば、大体の動詞の活用が言える。例えば「飲む」。最後の「む」に注目する。「む」は「まみむめも」の中にある。これを「あ段」の「ま」に変えると「飲ま」となり、そこに「ない」をつけると「飲まない」となる。つまり「ない形」のできあがり。例えば「お段」の「も」に変えると「飲も」となり、「う」をつけると「飲もう」となる。つまり「う形(意向形)」のできあがり。・・・・・わかるかな?ほかのやり方もあるし、これが正解ではないけど、こんな感じで動詞の活用を教えることになる。
この活用を頭に入れるだけでも大変な作業なのに、さらに複雑な「て形」。「て形」はさらに変化する。
例えばさっきの「飲む」。「む」で終わる言葉は「んで」を付ける。つまり「飲んで」になる。「読む」も「読んで」になる。「書く」のように「く」で終わるのは「いて」を付け、「買いて」となる。「泣く」→「泣いて」・「置く」→「置いて」。
この活用の段階を経て、そして初めて「て形」の文型に入ることができる。だから学生にとって二段階の苦労が伴うのよね。

そして「〜ています」の導入を考えることに。「〜ています」は実は二種類ある。
1.現在進行形
2.状態
1は今現在進行中の動作を言うとき。「私は今ご飯を食べています。」とかね。
2の状態というのは、「私は結婚しています。」とか「横浜に住んでいます。」とか。
この2の、状態の「〜ています」の導入を考える。
このとき、一緒に講座を受けている台湾人のリンさんでさえ、ここは難しいと言っていた。結婚しているかどうか聞くとき、どうしても「結婚しましたか?」になってしまうそうだ。確かに「結婚した」から「結婚している」わけで・・。でも「結婚しましたか」と聞かれたらバツイチでも「はい」と言えてしまう。ここが難しい。「結婚しています」は進行形の「〜ています」とは違う。今、まさに結婚式の最中で、新郎が新婦の薬指に指輪をはめてる瞬間!なーんて解釈はできない。例えば「コイツは死んでいる」という言葉だって、「コイツ」が今まさにだんだん死んでいっている最中・・・・という状況とは決して思わない。「死んだ」→「死んでいる」になる。

この「て形」、日本語教育の中ではまだ初級段階といわれる中の、最初のほう。こりゃ大変だわね。
そうそう、このあたりの演習から、実際に3〜4人の学生に学生役をしてもらっている。この学生たち、すでに初級は終わり中級に入っている学生。だから一度は勉強したことのある内容になる。この話はまた次に。

 
 
 第三十四話.演習3。

今日は「て形」の演習。お題は2つ。「〜てあります」と「〜てもいいです」。私たちはこの表現を使うよね。例えば「窓があけてあります」とか「辞書を借りてもいいですか」とか。
まず「〜てもいいです」。これは「許可」を求める雰囲気が必要。どういう場面でこの言葉を使うのか、そこから考えなければならない。すると「〜てもいいですか。」という、疑問の形が必要になる。疑問の形があるということは、それに答える言葉も必要。しかも肯定と否定。これらをすべてあわせ、導入を考える。

「〜てあります」の場合は、「〜ています」と違う、ということを示さなければならない。どういうことかというと、
「火が消してあります。」
「火が消えています。」
の違いということ。「て形」を使わないで、平叙文でみてみるともう少しわかりやすいかも。
「火を消します。」
「火が消えます。」
この文の違いは?コレ、難しいよね。「他動詞・自動詞」という用語を使うといいかな?ここから教えなければならない。じつはMarty、ココ、苦手な個所。動詞を聞いてすぐ「他動詞・自動詞」と区別できないのら。だって、そんな考えなくても日本人は使えてるじゃない?いちいち「コレは自動詞だから、『が』について・・。」とか考えないじゃない?逆に台湾人のリンさん、すぐ区別できちゃうのよね〜。これって、日本語を一生懸命勉強してきたからこそできるワザ。だから日本語を勉強する人の気持ちが、私たちとは逆側からわかる。

とにかくこの2つの文型の「導入」から「練習」までをするのだが、このころから、演習時の学生役が先生方ではなく、ホンモノの学生に協力してもらうことになった。この私たちの演習のために、夜まで居残ってくれているのだ。大切な時間を割いてもらっている。
最初はやっぱり、自己紹介よね。Martyは自己紹介のとき、「私は先生のたまごです。」と言った。みんな、わかんなかった・・・。そうよね、きちんと説明しなくちゃ。簡単な言葉で今の状況を説明する。
「私はまだ先生じゃありません。でも、先生になりたいです。ですから日本語の先生の勉強をしています。」
ようやく学生たちから、「あぁ・・。」と理解を示す感嘆の言葉がでた。あと少し「たまご」のことも説明した。韓国と台湾の学生。4人。みんな、若いなぁ。どうして日本に来たのか、などを聞き、ちょっと雰囲気を暖める。なんせ、私たちも学生も、緊張しているのがお互いありありとわかる。学生にとってみたら、この講座自体、知らなかったことで、こんなふうにして先生になるための勉強をしている、ということを初めて垣間見た瞬間だったようだ。

そして、演習。実際に学生を使ってするのは、これまた違った感じでいい緊張だ。この学生たちはもう中級で、この内容はすでに勉強し終わっている。学生のいい復習になればいいな、と思う。
1つめが終わり、休み時間になる。ここでもっと色々お話する。すると、この中の韓国人の学生の1人が、Martyと同じ時期にバンクーバーに留学していたっていうじゃないの。奇遇ですな。おいしい韓国料理の店の話が話題に上り、1時間前の雰囲気と比べてだいぶ緊張が解けてきたのを感じていた。
そしてもう1つの演習も終わり、評価に入る。リンさんとMartyと、それぞれきびし〜評価をいただく。Martyとしては、完全に学生に助けられてるな、と感じだ。学生たちはというと、
「先生の勉強は、知りませんでした。厳しいです。」
といった感想を述べていた。でも、将来日本語の教師になりたいという学生もおり、いい刺激になったのでは?と思った。
この日は、Martyが講座を受けて初めてホンモノの学生にふれた日だった。この日から演習には毎回、学生が登場することになる。よろしくね。

ここで先生からお知らせがあった。学校の行事の「遠足」があるという。参加しませんか?と誘ってくださった。もちろん、Martyは行くわよ。どこへでも。楽しみだわん。

 
 
 第三十五話.遠足。

学校行事の1つの「遠足」。毎年行っているようで、今年は昭和記念公園でバーベキューをすることになっている。このような学校行事に参加することも大事な授業の1つ、とMartyは思っている。学生の様子だけじゃなく、先生方の様子も垣間見られる。いつも講座を担当されてる先生方とはもうだいぶ仲良くなってきていたが、その他の先生方とは面識すらなかった。というのは、講座は夕方6:00からなので、午前中だけ担当していらっしゃる非常勤講師の先生とはまったく会う機会がなかったからだ。ちょっぴり緊張しながら、集合場所へ向かった。

集合場所の公園入り口には、開門前にもかかわらずたくさんの人でにぎわっていた。幼稚園児とそのお母様たち。おじーちゃんとおばーちゃん。そして、日本語学校の学生たち。言葉が違うからすぐわかる。Martyはどこへ行けばよいのやら、うろうろしていた。すると講座担当の先生を発見。くっついていた。なんせ100人近くの学生と先生20人ほどだから、まとまらないわね、コレ。その前に、誰が先生なのか学生なのか、言葉を聞かないとわからない始末。そんなこんなしているうちに時間となり、クラスごとに集まって入園することになった。Martyは後のほうをトボトボ歩いていた。
別に独りぼっちだった、ということではなく、この学生たちの若いエネルギーと、それをまとめる先生方のパワーを後から見ていたのだ。それだけで楽しく、非日常的な感覚を持っていた。すると、学生の中の1人が近づいてきて、色々話かけてくれた。彼女は講座で学生役をしてくれている、例のバンクーバー留学経験ありの子。なんだか気を使ってもらっちゃってるなー、と思ってしまった。Martyのほうから声をかけなくちゃいけないのに、先手を打たれた。この中に教師が含まれています。

さて、バーベキュー場につき、それぞれクラスごとに用意してきた材料をもちより、準備に取り掛かる。バーベキューのはずなのだが、それぞれの自分の国の料理のお披露目会になっていた。それもいいね。Martyもあるクラスに入れてもらいお手伝い。
食事の後はクラス対抗ドッチボール大会が待ち受けていた。教師チームもあり、Martyはその中で戦うことに。・・・・教師チームか・・。学生からみたらMartyも先生に見えるのかな・・・。ちょっとくすぐったいような、そんな気持ちになった。ドッチボールのルールを知らない学生もいたようだが、みんな、いい汗をかいていた。いつもまにかきちんと賞品も用意してあり、がんばったチームにはそれぞれ賞品が与えられた。
意外な人が意外な力を発揮。
今回の遠足で、教室だけではわからない学校の様子をうかがうことが出来たような気がした。普段お目にかかれない先生方と色々お話をすることが出来た。ある先生は、この学校と別の学校を掛け持ちで受け持っており、午後は別の学校の授業へと行ってしまった。またある先生も別の学校と掛け持ちしてわかったことで、JET日本語学校の学生はみんな素直だ、と言っていた。ほかに、もっとヘンな学校もたくさんあるらしい。

ここの日本語学校の先生、って、みんなすごい。ほとんどの先生方が海外生活経験あり。英語や中国語に堪能な方ばかり。それに何か秀でているものをもってらっしゃる。記者だったり劇団に所属していたり師範の免状をもっていたり・・・。日本語教師って、色々な経験があればあっただけ、教え方も膨らむ。Martyも何か、日本語教育以外のことで自慢できることを見つけたい。

 
 
 第三十六話.まとめのテスト。

この日まで勉強してきたことの復習テスト。と簡単に言ってしまえばそれまでだが、ただ暗記したらそれでおしまい、という類のテストじゃぁない。これって、ちゃんと頭に入れておかないと、困るのはあとあと自分が教師になったとき。やっぱりしっかりとやっておくべきだわよね。
今までの「JTO日記」には登場しなかったその他の表現・・・・例えば「可能表現」や「ない形」、「た形」なども含めてのテスト。演習を筆記と実技で分けたようなものかな。
やっぱり緊張してるし余裕がないから筆記の方は字がすっごくきたなくなってしまい、ちゃんと読めたいかどうか心配。時間も足りなく、ちょっと伸ばしてもらった。でも要点は押さえられたと思う。
そして実技。演習を何回か重ねてきているとは言え、緊張する。なんとか無事終わり、合格点がもらえたときはうれしかった。
今はこんな小さな演習やテストでアップアップしている。実際に教師になったらこれが毎時間、毎日続くわけだし、前日には教材を準備しなければならないし、私にできるのだろうか、とモヤモヤ不安になってくる。講座はやっと1/3が終わったところ。初級の教え方はまだ半分だ。やや、不安。

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